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足底腱膜炎の真実:原因から最新リハビリ、インソール活用法まで徹底解説

はじめに:その「かかと」の痛み、放っておいて大丈夫ですか?

起きて最初の一歩を踏み出した時、あるいは長時間座った後に立ち上がった時、足の裏、特にかかと付近に「ズキッ」とした鋭い痛みを感じたことはありませんか?その痛みは、多くの場合、「足底腱膜炎(そくていけんまくえん)」という疾患が原因かもしれません。
足底腱膜炎は、ランナーなどのスポーツ愛好家だけでなく、立ち仕事の多い方や中高年の方にも非常に多く見られる足のトラブルです。米国の報告では、10人に1人はこの疾患に悩まされたことがあるとされ、踵の痛みを訴える疾患の代表格です
しかし、その本態は単なる「炎症」ではなく、繰り返しの負荷による微小な損傷と修復の過程で生じる難治性の有痛性変性病変であることが近年明らかになってきています。そのため、一般的な対処法だけではなかなか改善せず、長引くケースも少なくありません。
本記事では、整体院での施術やリハビリテーションの視点も交えながら、足底腱膜炎の真の原因特徴的な症状、そして整体院でできる根本的な改善アプローチについて、専門的な文献を基にわかりやすく解説します。

1. 足底腱膜炎とは?その病態と原因

1-1. 足底腱膜の役割と病態

足底腱膜とは、かかとの骨(踵骨)から足の指の付け根にかけて扇状に広がる強靭な線維性の組織です。この腱膜は、足の土踏まず(内側縦アーチ)を支える重要な役割を担っており、歩行や走行時の衝撃を吸収し、地面を蹴り出す際の推進力にも寄与しています
歩行時には体重の約1.1倍、走行時には約2倍もの負荷が足底腱膜にかかると言われています。この過度な牽引ストレス衝撃ストレスが繰り返し加わることで、腱膜の踵骨への付着部や、やや遠位の実質部に微細な損傷が生じます。これが治癒と損傷を繰り返すうちに、炎症ではなく変性を伴う瘢痕組織(傷跡のような組織)へと変化し、痛みを引き起こすと考えられています

1-2. 痛みの部位による分類と原因の違い

足底腱膜炎の病変は、主に以下の2つのタイプに分類され、それぞれ発症要因が異なります
分類
病変部位
好発者
主な発症機序
付着部型
踵骨隆起内側の付着部近傍
中高齢者、一般の方
ヒールストライク時の圧迫ストレス
非付着部型
付着部よりやや遠位の実質部
ランナーなどのスポーツ選手
ミッドサポート時やテイクオフ時の伸長ストレス
特にランニングなどの活動性の高い方の場合、足首を使って地面を蹴るようなフォームや、体幹・股関節周囲の筋力が不十分なために膝から下に頼ってしまう走り方が、足底腱膜への過度な伸長ストレスとなり、非付着部型の発症につながると指摘されています

1-3. 見過ごされがちな危険因子(リスクファクター)

足底腱膜炎の発症には、局所的な問題だけでなく、全身的な要因や生活習慣が深く関わっています
要因
具体例
整体院での着目点
内的因子
扁平足・凹足、高度肥満、下腿三頭筋(ふくらはぎ)の緊張亢進、足関節背屈制限、踵の脂肪体萎縮
足部のアーチ構造後足部のアライメント体幹・股関節周囲の筋機能
外的因子
Overuse(使いすぎ)、低クッション性の靴(革靴、パンプス)、不適合な靴、硬い床での長時間作業
活動量の調整靴の適合性インソールによるサポート
特に、ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)の緊張が強いと、足関節の背屈(足首を上に曲げる動き)が制限され、歩行時に足底腱膜への牽引ストレスが増大します。また、足部のアーチ構造の崩れ(扁平足や凹足)も、腱膜への負荷を増やす大きな要因となります

2. 足底腱膜炎の診断と整体院での評価

 

2-1. 特徴的な症状

足底腱膜炎の最も特徴的な症状は、「歩きはじめの痛み」です
1.朝起きて最初の一歩:寝ている間に縮んでいた腱膜が、急に引き伸ばされることで激しい痛みを伴います。
2.長時間座った後の立ち上がり:同様に、安静にしていた状態から急に荷重することで痛みが生じます。
3.運動時や長時間の立位・歩行:進行すると、これらの活動中にも常に痛みを自覚するようになります。

2-2. 整体院での評価のポイント

整体院では、痛みの部位や程度を確認するだけでなく、その痛みがどこから来ているのかを全身のバランスから評価します
圧痛部位の確認:かかとの内側下部(付着部型)や、それより少し前の土踏まず(非付着部型)に強い圧痛がないかを確認します
アライメント(姿勢)の評価
後足部のアライメント:かかとの骨が内側や外側に傾いていないか(回内・回外)を確認します。
足部アーチの機能:座った状態と立った状態で土踏まずの高さがどれだけ変化するか(Navicular Drop testなど)を評価します
筋機能の評価
体幹・股関節周囲筋:片脚立ちや片脚スクワットをしてもらい、お尻の筋肉(大殿筋、中殿筋)や体幹の筋肉(腹横筋、腹斜筋)が適切に機能しているかを確認します。これらの筋力が低下していると、膝から下に負担がかかりやすくなります
下腿三頭筋の柔軟性:膝を伸ばした状態と曲げた状態で足首の背屈角度を比較するテスト(Silfverskiold test)などで、ふくらはぎの硬さを評価します
特に、痛みの部位によって足部の特徴が異なることが指摘されており、踵部の痛みは後足部が回外(硬い足)していることが多く、内側アーチ部の痛みは後足部が回内(柔らかい足)していることが多いという研究結果もあります。この詳細な評価が、後の施術やリハビリテーションの計画に不可欠となります。

3. 整体院で取り組むべき根本的な改善アプローチ

足底腱膜炎の治療は、原則として保存的治療(手術をしない治療)が主体であり、80〜90%の症例は軽快するとされています。整体院では、この保存的治療の中でも、特に運動療法装具療法(インソール)に重点を置いたアプローチを行います。

3-1. 運動療法:ストレッチと体幹・股関節の強化

足底腱膜炎の改善には、足底腱膜とアキレス腱の柔軟性の獲得が必須であり、最も有効な根治的治療とされています

① 柔軟性の改善(ストレッチ)

足底腱膜のストレッチ:足の指を反らせるようにして、足底腱膜を伸ばします。
アキレス腱・下腿三頭筋のストレッチ:壁に手をつき、膝を伸ばした状態と曲げた状態でふくらはぎを伸ばします。
ダイナミックストレッチ:段差を利用し、つま先立ちからかかとを下げる運動を、足趾の下にタオルなどを置いて行うことで、足底腱膜全体に伸張刺激を与え、Windlass機構(ウィンドラス機構)を強く働かせることができます

② 根本的な筋力強化(コアトレーニング)

足底腱膜炎は、足だけの問題ではなく、体幹や股関節周囲の筋力不足が原因で、足に過剰な負担がかかっているケースが多いため、全身のバランスを整えるトレーニングが重要です
体幹(コア)トレーニング:腹横筋(お腹をへこませる)、腹斜筋などを意識したトレーニングで、体幹の固定力を高めます。
股関節周囲筋の強化:お尻の筋肉(大殿筋、中殿筋)を強化するトレーニング(ブリッジ、片脚立ち、股関節外転運動など)を行い、歩行や走行時に地面を効率よく押せるように改善します

3-2. 装具療法:インソール(足底挿板)の活用

インソール(足底挿板)は、荷重時の足部アーチを安定させ、足底腱膜にかかる負荷を軽減するために非常に有効な手段です
整体院での詳細な評価に基づき、インソールは単なるクッション材としてではなく、足部の悪い「クセ」を矯正する目的で活用されます。
アーチサポート:土踏まずを適切に支え、歩行時の衝撃吸収機能を高めます。
後足部のアライメント誘導
踵部が痛い(後足部回外傾向):インソールでかかとを回内方向へ誘導し、足の剛性を適度に緩めます
土踏まずが痛い(後足部回内傾向):インソールでかかとを回外方向へ誘導し、足の剛性を高めます
このように、痛みの部位と足部の特徴に合わせてインソールを設計・調整することで、歩行時のアライメントを改善し、足底腱膜への負担を根本から減らすことが期待できます

3-3. 整体院での徒手療法と物理療法

痛みが強い急性期や、筋肉の緊張が強い場合には、以下のような徒手療法や物理療法を併用することがあります
徒手療法(マッサージ):足底の緊張をほぐすだけでなく、足背の骨間部など、痛みをかばうことで硬くなっている部位をほぐします。
物理療法:温浴(炭酸浴など)、超音波、レーザー、中周波などの機器を用いて、血行を促進し、痛みの緩和を図ります
体外衝撃波治療(ESWT):難治性の症例に対しては、集束型や拡散型の体外衝撃波治療が有効な選択肢となることがあります 。これは、機械的刺激によって組織の修復を促す治療法で、従来の保存治療が6ヶ月以上無効であった場合に選択されます

4. 改善への道のりと再発予防

足底腱膜炎の改善には時間がかかることが多く、「局所安静」はできるだけ避けて、痛みの許す範囲で活動量を維持しながら治療を続けることが大切です。安静にしすぎると、かえって危険因子である下腿三頭筋の筋萎縮を助長してしまう可能性があるためです
整体院での施術やリハビリテーションで症状が改善しても、再発予防が最も重要です。再発の多くは、症状が良くなったことで練習量や活動量を急に増やしたり、体幹・股関節周囲の「悪いクセ」が残ったままになっていたりすることが原因です
当院では、一時的な痛みの緩和だけでなく、正しい動的アライメント(動作中の姿勢や関節の動き)を身につけ、足底腱膜に負担がかからない根本的な体の使い方を習得するためのサポートを徹底しています。

まとめ

足底腱膜炎は、単なる足の裏の痛みではなく、全身のバランスの崩れ誤った体の使い方が引き起こす複合的な問題です。
症状:朝の歩きはじめや、立ち上がり時の鋭いかかとの痛み。
原因:足底腱膜への過度な牽引・衝撃ストレスに加え、扁平足・凹足、ふくらはぎの硬さ、体幹・股関節周囲の筋力不足などの危険因子
整体院でのアプローチ
1.詳細な評価:痛みの部位と足部の特徴(回内・回外、アーチの機能)を特定。
2.運動療法:足底腱膜・アキレス腱のストレッチと、体幹・股関節周囲筋の強化。
3.装具療法:足部の特徴に合わせたインソールによるアライメント誘導。
もし、あなたが足底腱膜炎の痛みに悩まされているなら、ぜひ一度、当院にご相談ください。専門的な知識と技術に基づき、あなたの足と全身の状態を詳細に評価し、痛みのない快適な生活を取り戻すための最適なサポートを提供いたします。

参考文献